JAPANデビュー問題

メルマガ版「台湾は日本の生命線!」より
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元NHK経営委員「JAPANデビュー問題で執行部に真摯な対応なし
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 まるで中国の御用メディアのごとく、日本の台湾統治史を捏造しまくったNHK「JAPANデビュー第一回 アジアの“一等国”」。昨年四月五日の放送以来、抗議運動が全国に広がり、目下日本裁判史上最多の一万人原告団が損害賠償を求める訴訟を係争中。九月十七日には東京地裁で第四回公判が行われる。

 ところで産経新聞が八月二十一、二十二日に掲載した「直言NHK 小林英明氏に聞く(上・下)」は、NHK経営委員を三年間務め、六月に任期満了で退任した弁護士の同氏が「公共放送であるNHKの課題」を語ると言うものだが、二十二日(下)の見出しは「台湾番組 執行部説明納得できぬ」。

 あの番組が放送された翌月のNHK経営委員会で、その内容に言及していた小林氏。番組で使われた「日台戦争」と言う言葉について「歴史的事実がない」とし、NHK執行部に「放送法違反ではないか」と追及したのだが、日向英実放送総局長から「日本台湾学会の考え方だ」と反論されている。

 小林氏は、これに関して下のごとく語っている。

―――その後、私なりに文献で調べた。しかし、400人いるという学会員で『日台戦争』を使っているのは2人はいる可能性があるものの、その他は確認できなかった。少なくとも多数説という理解は正しくないというのが、私の研究の結果だった。

 これについては同学会の事務局自身も、「学会の考え方だ」を否定している。学会に公式見解のようなものなどないと言うのだが、当然だろう。

 番組による「日台戦争」なる造語を正当化するためとは言え、日向総局長はいったいいかなる情報に基づき、こうした大胆な作り話を口にしてしまったのだろうか。

 ところが経営委は、このような説明が正しいかどうかを検証しなかったそうだ。

―――小丸成洋委員長が記者ブリーフィングで「干渉は自制しなければならない」「(台湾番組に重大な疑義は)ないと思う」と個人的見解を述べただけで終わってしまった。

 このように小林氏の指摘に対しては、「経営委員は個別番組について干渉すべきではない」との批判が起きていたと言う。だが小林氏はこれに対してこう反論する。

―――放送法第3条は「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」と定めている。しかし、経営委員には放送法で執行部の職務執行を監督する義務があり、少なくとも放送法違反の疑いがある場合は『法律に定める権限』で個別番組にも発言できると解釈している。

―――経営委がそれをできないとすると、NHK外部からの圧力や介入を招きかねず、むしろNHKの自律を脅かすことになる。

 「放送法で執行部の職務執行を監督する義務」を持つ経営委員が、明らかな歴史捏造を行う番組を放置すること自体が間違っているのだ。

 それにもかかわらず小丸委員長が「干渉は自制しなければならない」として議論を揉み消したのは、執行部擁護のためにする監督義務の放棄ではないか。日向総局長と同様、あれほど捏造だらけの番組に「重大な疑義はない」などと言い放ってしまうのがその何よりの証である。

 産経の解説によると「NHK経営委員会」とは「NHKの経営方針や業務運営の重要事項を決定する最高意思決定機関」。委員は「衆参両院の同意を得て首相が任命」し、「視聴者代表として会長以下執行部を監督する」のだが、小丸委員長はこうした義務を忘れ、執行部と癒着してしまったようだ。

 あの番組を巡ってはこれまで、NHKの番組制作の担当者、執行部の視聴者への背信的な体質が白日の下にさらされてきたが、NHK経営委員会までもがそれに連なっていたとは。

小林氏はこう語る。

―――番組に視聴者から多くの疑義が寄せられた場合、これに真摯に対応し、十分な説明をしなければ、肝心の受信料義務化について視聴者の理解を得ることも難しくなるだろう。

 「視聴者の理解を得ること」がでできなくても、捏造番組に関する責任をいかに回避するかが重要だ、とNHK執行部は考えているに違いない。一切の批判に耳をふさぎ、大胆な嘘、作り話を繰り返す姿に、そう思わざるを得ないのだ。

 小林氏は今回、NHKおよびNHK経営委員会の憂えるべき実態を国民に伝えてくれたが、このように良識と正義を貫く人物の存在が、いかにありがたいものであるか。