Wi-Fi 6Eって何?

Wi-Fi 6Eとは何か?

 Wi-Fi 6Eは、一口に説明すれば、利用可能なチャネルが多いWi-Fi 6だ。

 基本的な仕組みは現状のWi-Fi 6(規格で言えばIEEE 802.11ax)と同じだが、5,925~7,125MHzという今までWi-Fiでは使っていなかった周波数帯域を利用可能にすることで、より多くの接続を可能にし、干渉の少ない、快適なWi-Fi環境を実現できる。

 まず、現状のWi-Fi 6の電波の利用状況を見てみよう。2.4GHz帯と5GHz帯が利用できるが、話を単純化するため、2.4GHz帯は省いて、5GHz帯の利用状況を以下に示す。

現在の5GHz帯の状況

 現状の5GHz帯は、5,150~5,725MHzの帯域が利用可能となっており、これが20MHzごとに36~144の20個のチャネルに分割されている。36~48がW52、52~64がW53、100~144がW56と呼ばれている。

 このチャネルは複数束ねることで高速な通信を実現しており、Wi-Fi 6では最大で160MHz幅まで確保できる。Wi-Fi 6の最大速度は、一般的なノートPCで現状2,402Mbpsとなるが、これは160MHz幅を利用した際の値となり、80MHz幅のときは1,201Mbpsとなる(いずれも2ストリームMIMO利用時)。

 さて、160MHz幅で複数のチャネルを束ねると、高速化はできるが、その分、1つのアクセスポイントが占有する電波の帯域が広くなる。同じチャネルの電波が近く(隣家など)にあると、それが干渉の原因となるためだ。

 このため、近隣と干渉しないように160MHz幅の帯域を確保しようとすると、上図のように現状の5,150~5,725MHzの中では2つしか確保できない(正確にはW56側は若干ずらせるので、組み合わせはもう少し多い)。

 市販のアクセスポイントの中には、標準で160MHz幅をオフにし、80MHz幅で利用するようにしている機種もあるが、それは最大速度よりも干渉を防ぐことの方が重要と考えているからだ。干渉が発生すれば、結局速度が低下するか、アクセスポイントが自動的に80MHz幅にダウンして接続するようになっている。

Wi-Fi 6では160MHz幅が利用可能だが、アクセスポイントによっては80MHz幅が標準に設定されている場合もある

Wi-Fi 6Eで拡張される6GHz帯

 160MHz幅を最大で2つしか確保できないのでは、せっかくのWi-Fi 6の実力を生かすことができない。また、次世代のWi-Fi 7(IEEE 802.11be)は、これをさらに拡大し320MHz幅で利用することが想定されている。

 つまり、圧倒的に周波数帯域が足りないわけだ。

 そこで、Wi-Fi 6Eでは、利用可能な周波数帯域を現状の2.4GHz+5GHz帯から、さらに6GHz以上(5,925~7,125MHz)へと拡張することが想定されている。

Wi-Fi 6Eでは5,925~7,125MHzの利用が検討されている

 5,925~7,125MHzは1,200MHz分も帯域があるため、160MHz幅であっても干渉しないように7つ分も帯域が確保できる。これなら、四方に隣り合う隣家で、別々の帯域を設定することが可能で、160MHz幅を干渉しないように使い分けることができるわけだ。

 まとめると以下のようになる。

  • Wi-Fi 6Eの基本的な仕組みはWi-Fi 6と同じ
  • Wi-Fi 6Eは従来の2.4GHz+5GHzに加え6GHz以上の帯域を利用可能
  • 160MHz幅を重ならないように2+7の9つ分確保できるため干渉を避けやすい


引用元:【特集】Wi-Fi 6Eって何?Wi-Fi 6と何が違うの?国内の対応ルーター登場時期などを整理 - PC Watch





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