日本人の劣化、事態の深刻性が分からない外務省とマスコミ

(読者の声3)評論家の大沢正道さんが『ガラガラヘビ』(9月15日号)というニュースレターで次の指摘をされています。
 貴誌(8月28日付け)の「日本大使、日章旗奪われても恥ずかしくないのか」という記事を引用されて、
 「この事件で大使や同乗の外交官の責任を問うたのは宮崎(正弘のメルマガ)だけだった。なにしろ当の(丹羽)大使やらが被害者面しているんだから、始末が悪い。しかしだれもそれを攻めなかった。この事件を報じた藤村官房長官は登壇するまえに必ず日の丸に一礼しているが、その国旗が(中国人に)汚されたのを憤る気配はまったくない。ただ形式で頭をさげているだけ。ロボットと替わらない。日の丸、君が代の教育をおろそかにしてきた無惨な結果がこれだ」
  (JT生、横浜)


宮崎正弘のコメント)ちなみに小誌3737号の当該記事は「日本大使を襲い、国旗を奪った「英雄」たちは、「現代の義和団」? ネットに溢れる「中華愛国」の幼児性」というタイトルで、記事は以下のようでした。
再掲載します。
(引用開始)「丹羽大使の乗った外交車両が北京で走行中に暴漢に襲われ、我が国の国旗が奪われる事件がおきた。日本政府は抗議せず、在留邦人の安全を中国当局に要請、また中国外交部は「遺憾の意」を現したに過ぎない。中国のネットには「現代の義和団」「英雄」「日本鬼子をやっつけろ」など、熱血的興奮の書き込みが目立つが、あまりにも知的レベルの幼さに、やはり西太后に操つられた義和団を連想する。
尖閣問題で軍事行動を起こさない胡錦涛政権は「宋朝末期の軟弱外交に等しい」「王精衛に似ている売国政権だ」という殴り書きもある。さて筆者が考えるのは、こうした現象的事象ではない。
かりにも我が国の神聖なる国旗が奪われたのである。武士道にしたがえば大使は切腹してわびるべきである。また三人も日本人が大使のクルマに同乗していながら、国旗を守るために生命を賭けようともしなかった外交官は、なにか外交上の大切なことを忘れているのではないか。
その昔、ペルーで日本大使公邸が襲われ、多数が人質になった。フジモリ大統領は断固たる決意で武装突撃隊を編成し、ゲリラを退治し、日本人人質を救ったが、この行為に外務省はそれほどの感謝もしなかったばかりか、日本のマスコミは実力行使に批判的だった。
あまつさえ駐ペルーの日本大使=青木某は天皇陛下の御真影ならばともかく、当時の橋本首相の写真を掲げて記者会見に出てきた。かりにも全権大使とは天皇陛下の名代であり、首相は行政のトップに過ぎないという真実を忘れている行為だった。
かくして日本人の劣化、事態の深刻性が分からない外務省とマスコミ。国旗が奪われたという失態がいかなる意味かを飲み込めない幼児性。このことは極めて重大深刻な現代日本人の精神の混迷と錯乱ぶりを示して余りある」(引用止め)。

ソース:「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 通巻第3767号