日本マスメディア: 報道しない自由(3)

9・22「中国の尖閣侵略阻止!緊急国民大行動」


国内メディアは産経新聞を除いては、あいかわらず「日の丸を掲げるデモ」を黙殺したが、それに対して各国の記者、カメラが多数取材に訪れた。中国国民の反日暴動に対する日本国民の「反撃」に注目したのだろう。

そこでいくつかの報道を紹介したい。

まずは中国メディアの報道。もっとも中国とはいっても、本土メディアは案の定、黙殺した模様。

日本の「反中」を報じて国内の「反日」を激昂させ、それが「反政府」へと発展するのを恐れてのことだろう。

もちろん現場には本土の新華社、人民日報などの特派員らが来ていた(アベックを装い、群衆に紛れこんだり…)。その数やいつになく多く、盛んに参加者にマイクやカメラを向けていたが、それは報道のためというより、情報収集のためだろう。

しかし香港メディアは報道した。たとえば有力紙「明報」の記事は次のようなものだった。

■日本右翼が今日千人規模の反中デモ(香港・明報)

先月、国会議員を組織して釣魚島に上陸した日本右翼組織は今日、東京で数千人規模の反中デモを行う。中国で反日の波が高まって以来の日本国内最大規模のデモとなる。
日本新聞ネットによれば、新興右翼組織「頑張れ日本!全国行動委員会」は今日午後二時、数千人の反中デモを組織し、中国大使館にも赴いて抗議文を読み上げる。同会の創設者は航空自衛隊の前司令官である田母神俊雄。彼は二〇〇八年、日本の侵略の歴史を否定する論文を発表し、政府から解任され、退職に追い込まれた人物。今年六十四歳の田母神は二〇一〇年二月に「頑張れ日本」を作り、先月中旬には百五十名の国会議員やその他の人々を釣魚島に上陸させ所謂「慰霊祭」を行おうとした。


今回、海外での報道で期待されたのは、尖閣諸島が日本領土であるとアピールされること、そして中国覇権主義に対して屈服することなく、それに敢然と立ち向かおうとする日本人の決意が伝えられることだった。

そのようになれば、やはり中国の軍事的脅威に直面する国々、そしてすでに侵略されている諸民族と日本との連帯強化にも繋がることだろう。

だからこそ中国メディアはいつもながら、誹謗、矮小化の宣伝報道を行うことになる。すなわち世界が非難すべきファシストにして、日本国内でも孤立する「右翼」だと強調するわけだ。

この明報の報道にも、明らかにそうした意図が働いているようだ。事実「頑張れ日本」は「侵略を否定」して日本政府からも疎まれる悪質な「新興右翼組織」だと強調しているではないか。

次に台湾での報道を見て見よう。やはり尖閣諸島の領有権を主張するこの国の報じ方はどうか。

台湾国内だけでなく、世界中の中国人にも影響力を有する中央通訊社は、下のような記事を配信した。

■釣島風波、日本人が中国に抗議(台湾・中央社)

日本政府が釣魚台を購入した後、中国では各種の反日活動が見られるが、日本の右派組織「頑張れ日本!全国行動委員会」も今日、東京で抗議デモを行い、釣魚台を防衛すると叫んだ。これは釣魚台国有化後、最大規模のデモ。参加者は主催者発表で約千四百人で、警察は約七百人と見ている。
「頑張れ日本」幹事長の水島総氏は、集まった群衆と共に青山公園で集会を開いた。そしてその後デモ隊は六本木の繁華街を歩き、さらに小さな公園で講演の集会を行った。
東京都狛江市の辻村ともこ市議はデモ参加者に対し、「テレビで中国人の上陸や日本企業への破壊行為を見た私の子供から、どうしてこうなるのかと聞かれた」と話した。そして「民主党政権は国家と国民を守る責任を十分に果たしていない。今日の活動が国民運動に発展し、民衆を感化し、毅然とした態度で中国に向かえるようになってほしい」と怒気を隠さず語った。また東京都港区議の男性は、「日本は法治国家。デモの民衆はどんなに怒りの声をあげても、秩序は守る」として、中国の反日野蛮行為を諷刺した。
デモ隊は「自衛隊の釣魚台進駐を支持」「日米による合同演習を釣魚台防衛を支持」といったプラカードを掲げていた。宣伝カーは群衆を率いながら、「釣魚台は日本領土」、「中国の侵略に反対する」と叫んだ他、さらには「中国の台湾侵略に反対」「中国のチベット迫害に反対」とも訴えた。
デモは非常に平和的で、沿道の民衆も拍手しながら「頑張れ」と声援を送っていた。
デモ隊は最後に中国駐日大使館前で抗議を行った。警察の誘導下で激しい叫び声を上げた後は警察に感謝の礼をしていた。


ここでは「頑張れ日本」を「右派」と呼んでいる。これは所謂「右翼」との異なりを示したものである。それからこのデモが中国の暴動とは異なり、いかに理性的、平和的なものだったかを強調しているようにも見える。

「中国の台湾侵略に反対」「中国のチベット迫害に反対」との訴えも伝えるなど、アジア全体を襲う中国覇権主義そのものに対する行動だったことも、きちんと報じている。

台湾の最大手紙「自由時報」も、中国覇権主義からのアジアの防衛を訴えたデモだったと捉えている。

■中国の覇権に反対し、千人以上が街へ繰り出す(台湾・自由時報)

〔駐日特派員張茂森、国際ニュースセンター/総合報道〕「頑張れ日本!全国行動委員会」等の日本の民間団体のメンバーなど約千八百人は二十二日午後、東京の繁華街である青山通りで「反中国覇権」「反中国侵略」「釣魚台防衛」を訴える大規模デモを行い、その後中国大使館へ赴き抗議書を届け、アジア各国に対する恫喝覇権行為を停止するよう要求した。
中国覇権主義に抗議するこの示威活動は「頑張れ日本」の水島総幹事長が主導し、「草莽全国地方議員の会」のほか、台湾研究フォーラム南モンゴル自由連盟党やベトナムの代表者なども参加し、総勢で約千八百人。
水島総氏は演説の中で、「中国が行った反日暴動は日本を恫喝するためのもの。日本は永遠に屈しない。民間の力を結集し、アジアの自由主義国家と連帯して、中国覇権に対抗する」と述べた。
台湾研究フォーラム永山英樹会長は、「日本は中国覇主義に勇敢に立ち向かい、台湾やその他のアジア各国を併呑しようとする中国の領土的野心に反対すべきだ」と訴えた。
中国の駐日大使は受取りを拒否しているため、デモ隊は抗議書を大使館のポストに投じた。そこには「日本人は中国の反日というの名の略奪を許さない。また東支那海、南支那海での覇道に反対し、更には台湾併呑にも反対する」とあった。また中国の覇権姿勢に対しては、「日本人は全アジアの自由民主国家、そして諸民族と連帯し、最後まで中国と戦う」と述べられていた。
活動中、右翼団体がこの活動と合流しようと企図したが、右翼組織は暴力組織的な傾向があるため、「頑張れ日本」に拒絶された。
しかし中国メディアの中新社は東京からの報道で、「このデモの参加者はわずか六、七百人にすぎず、暴力行為は見られなかった。しかし中国側は日本の外務省に対し、大使館の安全を確保するよう緊急交渉を求めていた」と伝えた。
さらに、「日本の田母神俊雄前航空幕僚長が率いる『頑張れ日本』は極右組織であり、今年六月には百人以上のメンバーで釣魚台海域での釣り大会を行い、二〇一〇年の中国人船長逮捕事件後は、何度も反中デモを行った」と報じた。


こちらも「頑張れ日本」が「右翼」ではないと強調し、中国の宣伝を打ち破ろうとしている。

余談だが、「自由時報」が言及する「右翼団体」は、「頑張れ日本」の集会会場付近で騒音を鳴らし、デモ隊が進発するや、それと街宣車を並走させるなどし、中国大使館付近でもふたたびデモ隊と合流しようと試みたが、それが果たせないとあきらめて、デモ隊の横を黙って走り去って行った。

ある警察官によれば「後ろに中国がいるのは間違いない。金で雇われたのだろう」とのこと。つまり中国の要望に従い、「頑張れ日本」と同じ場所に出現し、この団体も右翼団体だとの印象を各国のメディアに与えようとしたのだろう。

もしかしたら国内の親中政治勢力の差し金かも知れないが。

いずれにせよ、それほど今回の行動は、中国には脅威と映ったのだ。

この行動で日本人が示した憂国の熱誠は、これほど中国を脅かした。そしてそれはまた、本来この覇権主義国家の前で盟邦たるべき台湾のメディアにも伝わったのである。

ソース:
台湾は日本の生命線!
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1953.html