ノーベル平和賞


ノーベル平和賞:米国民は驚きと戸惑い 祝賀ムードなく

 【ワシントン草野和彦、小松健一】オバマ米大統領の09年ノーベル平和賞受賞が決まった9日、米国内の雰囲気は祝賀ムードにほど遠く、驚きと戸惑い、さらには批判の声さえも聞かれた。最大の理由は、米国民が喜びを共有できる「実績」が大統領にないためだ。「戦時大統領」への「平和賞」というイメージのギャップも大きく、支持層のリベラル派までが祝福を控えた。

 大統領の受賞声明を受けて始まったホワイトハウスの定例記者会見。「おめでとう」の言葉もなく始まった質疑応答では、容赦のない質問が相次いだ。

 「期待ばかりで、何も結果がないという認識を助長しないか」「冷戦終結に導いたレーガン(元大統領)は受賞しなかったが」。ギブス大統領報道官は困った様子で、「私はノーベル賞委員会のメンバーではない」と答えるしかなかった。

 折しも政権内では、アフガニスタンへの米軍増派を巡る議論が進行中。「大統領は受賞の辞退を考えたか」との質問も出て、報道官は「私が知る限りでは、ない」と突っぱねた。

 ホワイトハウス前はいつも通り、観光客でにぎわった。「オバマ・サポーター」の白人男性ローゼルさんは、「正直に言うと、『なぜ?』だね」。白人女性シェレンさんは、訪米中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世のセミナーに参加した帰りで「ダライ・ラマは真の平和活動家。オバマが自分の発言を実行するよう期待しているわ」と淡々と話した。

 ノーベル賞委員会は大統領の「核兵器のない世界」へ向けた理想と行動を重視した。

 だが、反戦・核軍縮の米最大規模の団体「ピース・アクション」の声明は、アフガン増派を検討するさなかの受賞を「皮肉なことだ」と指摘。「核兵器のない世界」についても、「平和賞に値する業績がない」とし、「平和を推進する力」を示すように求めた。

 共和党や保守層はより辛らつだ。黒人で共和党全国委員会のスティール委員長は声明を発表。「確かなことは、大統領は雇用創出、財政責任などで、米国民からいかなる賞も得られないことだ」と皮肉った。保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」はニュースメールで、「ノーベル賞は、米国の内政に横やりを入れ、政治論争の種をまいている」として、ノーベル賞委員会に批判の矛先を向けた。

 こうした中、援護者は過去の同賞受賞者ら。カーター元大統領(02年受賞)は「大統領のビジョンと決意を世界が支持するとの力強い意思表示だ」と評価。ゴア元副大統領(07年受賞)も「大統領が既に成し遂げたことが、歴史的観点から高く評価された」と絶賛した。

 また大統領の核戦略に影響を与えた一人、ナン元上院軍事委員長は「(核軍縮・不拡散への)地球規模の焦点と議論を再形成した」と喜んだ。昨年の大統領選を戦った共和党のマケイン上院議員は、CNNテレビで「驚いたが、我々は米国民として大統領が誉れ高い賞を得たことを誇りに思う」と祝した。


引用元: ノーベル平和賞:米国民は驚きと戸惑い 祝賀ムードなく - 毎日jp(毎日新聞),
"http://mainichi.jp/select/wadai/news/20091010k0000e030016000c.html"






ノーベル平和賞(のーべる へいわしょう、スウェーデン語・ノルウェー語:Nobels fredspris、英語:Nobel Peace Prize)は、ノーベル賞の一部門で、アルフレッド・ノーベルの遺言によって創設された五部門のうちの一つ。国際平和、軍備縮減、平和交渉、保健衛生、慈善事業、環境保全などの分野に多大な貢献や影響があった人物や団体に対して授与される。 ノーベル賞の創設者アルフレッド・ノーベルはスウェーデンとノルウェー両国の和解と平和を祈念して「平和賞」の授賞はノルウェーで行うことにした。 ノーベル平和賞のみが「スウェーデンではなく」、ノルウェーが授賞主体である。

毎年の受賞は最高3者まで。選考はノルウェー議会が行い、受賞が決まるのは、例年10月頃。12月10日にオスロオスロ市庁舎で受賞式が行われる。


引用元: ノーベル平和賞 - Wikipedia,
"http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB%E5%B9%B3%E5%92%8C%E8%B3%9E"



宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成21年(2009年)10月10日(土曜日)
通巻第2736号  
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飛び込んできた今年度最大のジョーク、オバマ大統領にノーベル平和賞
次はオサマ・ビン・ラディンが受賞しても不思議でなくなった
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テロリストにノーベル平和賞が与えられたことがある。故アラファトPLO議長だ。
イスラエルとの和平交渉にのってオスロ合意に至ったのは、弱体化したPLOの最後の選択だった。それ以外、選択の余地はなかった。ラビン、ペレス両イスラエル指導者と三人同時受賞だった。
それ以前まで米国はしばしばアラファトを「テロリスト」呼ばわりしていた。

オサマ・ビン・ラディンはCIAの手先だった。
アフガニスタンからロシア侵略軍を撃退し、米国はパキスタン経由の武器援助をやめ、反ソ活動家への援助も打ち切った。
政治環境が変わると、かれはテロリストと認定され、世界に指名手配された。
ならばもう一回転向し、和平交渉に乗ってきたら、オサマだって受賞資格がある。

バラク・フセインは「核なき平和」を訴えた。
理想を述べたにすぎず、ロシアは同意するそぶり、手をたたいて喜んだのは北京だった。バラク・フセイン・オバマ路線によって、もし米ロが戦略的核兵器を削減すればバランス上、中国の核戦力が突出することになるからだ。

オバマは受賞を聞いて「これは『行動を起こせ』という呼びかけだ」と受け取った。
ノーベル平和賞が、つぎの国際政治のパラダイムをオバマに強制することになる。露骨な政治的思惑だが、ノルウェー政府の考えそうなことである。もっともキッシンジャーやカーター、スーチー、金大中と、へんな受賞がつづき、もはや「権威」は雲散霧消しているのだが。。

ロシアが核兵器削減に前向きなのは、じつは「過剰」な在庫の中に旧世代の核兵器(事実上、もっていても仕方がない)からプルトニウムを取り出して、原発原料に回したいからである。

米国も「過剰」なICBM在庫を削減し、管理コストを下げたい。そうした経済コスト意識が裏面に潜んでいる。
手放しで喜んでいる人たちは偽善者の本質を、その打算と汚らわしい打算とを軽視するか、無視する。

ちょうと筆者は福田恒存氏の「文学と戦争責任」を読んでいた(下欄、書評参照)。
偽の英雄を、現代世界はまたでっちあげた。その人の名はバラク・フセイン。