負債の時価評価

違和感を感じる。



1.負債の時価評価について

日本では、金融資産については時価評価を行うことになっていますが、負債は時価評価の対象にはなっていません。
米国では、2007年11月以降の決算期から負債の時価評価が導入されました。

運用目的で保有している他社の債券を時価評価するなら、自ら発行した債券も合わせないとバランスがとれないという
考え方です。

導入直後に金融危機が襲い、格下げ企業が急増しました。
金融機関の発行する債券が格下げになると、信用力が落ち、債券価格が下落します。
これについて時価評価を行うと発行価額との差額が利益になります。
資産側の金融商品の時価が下落すると損失が発生するのと全く逆の現象です。

仕訳例で見ていきます。

(1)A社は社債を発行しました(発行価額100)
(2)期末にA社債の時価が90に下落しました。

(1)の仕訳
(借)現預金 100 (貸)社債  100

(2)の仕訳
(借)社債   10 (貸)評価益  10

2.負債の時価評価を巡る議論

負債の時価評価については、見慣れない利益項目に市場では「実態を見えにくくする」と戸惑いの声が広がっています。
私も、格付けが下がったことにより評価益が発生する会計処理については違和感を感じます。

格下げは資金調達力の低下を意味し、企業にとってはマイナス材料です。
逆に格付けが上がれば、今度は評価損を計上しなければならない可能性があります。

日本では、現在では導入していませんが、企業会計基準委員会(ASBJ)は5月末に公表した国際財務報告基準(IFRS)の国内導入に向けた論点案に負債の時価評価も盛り込みました。

深い議論が必要だと思いますが、日本でも負債の時価評価が導入される可能性があります。


引用元: ビジネスに役立つ会計ブログ: 負債の時価評価 「格下げで利益」に戸惑い,
"http://cpa-yama.seesaa.net/article/120916056.html#more"