オープンソースのCPU「RISC-V(リスク・ファイブ)」の長所と短所とは

そんなRISC-Vには、これまでのISAにはなかった3つの強みがあるとThe Economistは分析しています。その最初の1つが「ロイヤリティの支払いが不要」な点です。ロイヤリティを支払う必要がないということは、デバイスを安価に製造することが可能だということなので、十分な性能を備えた電化製品やインフラ機器などが一気に普及し、IoTがさらなる進展を見せることになるとThe Economistは見ています。


2つ目の利点は、「ISAを利用するための交渉が不要」なことです。ハードウェアメーカーが提供するISAを利用するには、高額な使用料だけでなく長期的な交渉が必要になります。The Economistによると、一般的な商用ISAのライセンス交渉にかかる期間は短くても6カ月、長ければ2年もかかるとのこと。ISAの利用開始まで長い時間がかかるということは、それだけで小規模開発者やスタートアップにとって大きな負担となります。こうした交渉が不要なRISC-Vを採用すれば、フットワークの軽い開発が可能となるため、イノベーションがさらに加速することが期待できます。


そして、第3のメリットが「国家や大企業の思惑から自由である」という点です。記事作成現在、アメリカと中国との間では激しい貿易戦争が勃発しており、双方が報復関税や輸出規制の応酬を繰り広げています。そのため、特に中国のテクノロジー企業はアメリカの企業が生み出した製品を使うことができず苦境に立たされていますが、オープンソースRISC-Vであれば輸出規制とは無縁です。事実、既に2019年7月には世界最大のeコマース企業である中国のAlibabaがRISC-Vを採用したCPUを発表したほか、Huaweiも自社製CPUにRISC-Vを採用する意向を示しており、今後この流れはさらに顕著になると見られています。


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