公取委一転「シロ」

 著作権管理団体「日本音楽著作権協会JASRACジャスラック〉)」の楽曲使用料の徴収方法が独占禁止法違反にあたるとして出した排除措置命令について、公正取引委員会が取り消す案をJASRAC側に伝えたことがわかった。JASRACは命令を不服として公取委に審判を請求し、争っていた。

 審判は、排除措置命令などに納得できない場合、業者側が公取委に改めて判断を仰ぐ制度。公取委には違反行為を調査する審査局の審査官と、審判の裁判官にあたる審判官がおり、いずれも公取委職員が務める。

 今回伝えられたのは公取委の審判官がまとめた審判の判決にあたる審決の案。今後、公取委で命令を出した側の審査官にも異議申し立ての機会が与えられ、その後、正式な審決が出る。公取委が自身が下した命令に対し「シロ」の判断を示すのは異例だ。

JASRACへの排除措置命令、公取委一転「シロ」
http://www.asahi.com/national/update/0203/TKY201202020715.html

関連

2009年11月5日(木)日経の記事「公取委の審判制度廃止 政府方針 裁判所に機能移管」を見て、ついに来たか、という感じ。

 経済界はだいぶ前から要望していたことである。

 何しろ10年間で審判でもとの結論(排除措置命令とか課徴金納付命令)がひっくり返ったのは、たったの1件だというのだから、「審判」としてまるで機能していない。

 刑事裁判の検察官にあたる「審査官」と、裁判官にあたる「審判官」は、ともに公取の職員である。だから制度的に公正さが保たれるわけがない、と言われている。そこで公取も裁判官や検察官に審判官として出向してもらったり、弁護士を審査官に採用したりしてイメージアップに努めてきた。

 しかし、聞いた話であるが、審査官が自分で作成した捜査メモを証拠として提出するとか、法律家の感覚からすると、およそ信じられないようなことが平気で行われるらしい。
 
 公取の審判は公開されていて誰でも傍聴できる。公取のHPで期日が調べられるから、興味のある人は今のうちに見に行ってはいかが。

 ちなみに特許庁の審判は、審判としてきちんと機能している。同じ国の「審判」なのに、どうしてこんなに天地の差があるのか、さっぱりわからない。

引用元:
公正取引委員会の審判制度廃止へ
http://ameblo.jp/kimuralaw/entry-10382252246.html