死刑は残虐な刑罰?

 残酷に他人を焼殺した人だから、その報いを受けるのは当然だ。またそうでなければ、殺された人の霊は浮かばれない。

2009年7月5日、大阪市のパチンコ店にガソリンをまいて放火して5人を殺害、10人を負傷させたとして殺人罪・現住建造物放火罪に問われた男(43歳)に対する「裁判員裁判」の判決が2011年(平成23年)10月31日(月)に、大阪地方裁判所であり、死刑が言渡された(讀賣新聞 2011年〔平成23年〕11月1日〔火〕 朝刊 東京14版 37・39面)。死刑判決は予想されたことなのでどっていうことはないが、この裁判が注目されたのは、被告が<死刑は残虐な刑罰を禁じた憲法第36条に反する>と主張したことである。
 判決が絞首刑を合憲と判断した理由は、1, 絞首刑は、意識喪失までに最低で5〜8秒、絞まり方によっては2分以上かかり、その間、受刑者が苦痛を感じ続ける可能性がある。しかし、死刑はそもそも受刑者の意に反してその生命を奪い、罪を償わせる制度であり、ある程度のむごたらしさを伴うことは避けがたい。憲法も死刑の存置を容認する以上、これらをやむを得ないものと考えていることは明らかである、2, 死刑の執行方法が、憲法が禁止する「残虐な刑罰」に当たるのは、それが特にむごたらしい場合ということになる、3, 執行方法が特に残虐と評価されるのは、非人間的・非人道的で、通常の人間的感情を持つ者に衝撃を与える場合に限るというべきである、4, 死刑に処せられる者はそれに値する罪を犯した者であり、執行に伴う多少の精神的・肉体的苦痛は当然甘受すべきである、5, 確かに絞首刑は前近代的なところはあるが、だからといって、残虐な刑罰に当たるとは言えない、とする。
 5を除いては、これに付け加えることはない。絞首刑は前近代的というが、ならば近代的な処刑方法は何であろうか。電気刑、ガス刑か、それとも銃殺刑? 前近代的というなら斬首刑、火あぶり刑、槍で突く刑だろう。つまり、苦痛を最小限に止めれば近代的な刑罰と言えないだろう。電気刑、ガス刑、銃殺刑との苦痛の比較はわからないが、絞首刑は苦痛を最小限に止める範囲に属するのではなかろうか。それとともに殺人者は絞首刑以上の残虐な殺害方法を用いながら、絞首刑は残虐もないだろう。
 とにかく、絞首刑が<残虐な刑罰>に該当するという神経が理解しがたいし、被告は電気刑、ガス刑、銃殺刑だったら甘受するのだろうか。そうなればそうなったで、再びそれが<残虐な刑罰>に該当すると主張するだろう

Source: [《日本の伝統文化を大切にしよう》|http://8227.teacup.com/ysknsp/bbs] ,accessed (2011/11/06 07:01:56)