ビックリニュース 「障がい者」?

公明党は、10月17日「障害者」ということばの「害」の漢字にはマイナスのイメージが強いとして、ひらがなで「がい」と書く表記に変えるよう、政府や地方自治体に働きかけていくことしたらしい。

障碍者----> 障害者-----> 障がい者

http://www3.nhk.or.jp/news/t10014783111000.html


“「障害物」とは人にとって障害となる物なのだから、「障害者」とは他の人にとって障害となる者という意味に取れる”と主張する人も中にはいる。例えば、岩渕 真知子/進 氏による、私たちの子どもを取り巻く表現と用語:「法律用語」と「役所用語」の誤訳と不適切表現についてという文章は、その理論の典型的な例である。

 一見すると、その主張は正しいように思える。しかし、いつから日本語の「障害者」は「障害となる者」という意味にすり替わったのだろう。「障害者」を「障害物」に似た言葉だから「障害となる者」という意味だというのは、飽くまでも彼らの勝手な解釈であり、妄想であることに、気を付けていただきたい。そもそも、前提からして間違っているのだ。

障害物=(人や物の通行に)障害(を与える)物
障害者=(自己に)障害(を持つ、与えられている)者

 つまり「障害者」の「障害」とは「障害物」とは違い、受け身である。 障害者自身が他人に障害を与えているという意味では決してないのは、日本語として常識である。漢字熟語にどんなテニヲハが付くのかは、それぞれの言葉によって決まっており、似たような言葉と同じテニヲハが付くものと勝手に自己流解釈すると、とんだ恥をかくことがある。

 例を挙げるなら、「役不足」という言葉の意味を誤解している人が多いという。「PTA役員なんて自分には役不足です」と、自分の力不足を認める謙遜表現として間違って使っている人が多い。ところが本当は全く逆の意味なのだ。たとえば、「あなたには役不足かもしれなくて(=能力のあるあなたには釣り合わぬ、つまらない仕事かもしれなくて)申し訳ないけど、これこれの役目を引き受けてくれないかしら」と使うのが正しい。つまり、「役不足」とは、自分の能力がその「役」には「不足」している、という意味ではない。自分の能力がその「役」では不足している、という、正反対の意味である。

 もう一つの例として、「少女趣味」という言葉も最近は「ロリコン」の意味に誤解されることが多いが、実際には「少女が趣味」ではなく「少女の趣味」、つまり少女的な甘美でセンチメンタルな、いわゆる“リボンとフリルの世界”に憧れる、そんな趣(おもむき)のことを指すのである。

 「役不足」という言葉の意味を誤解していることに気付いた人は、自分の知識の無さを恥じて「これからは正しい意味で使おう」と思うものだ。しかし、「障害者」という言葉の意味を誤解することに関しては、“そんな言葉を使うべきではない、誤解しやすい言葉だから悪い”とでも言うのだろうか。ふざけた話だ。それは“責任転嫁”という。しかも、実際にそんな誤解をしている人など、先に挙げた極端な人以外には、ほとんどいないというのに。