歪曲された番組
その疑問とは、テレビ番組で、“「回天」のハッチは外から閉める。よって閉められたら泣いても叫んでも開けてもらえない”というように強調しているのを見たことがあったからだ。
これについて、小灘さんは、
《それは、まったく事実に反する説明なのです。「回天」の、上下二か所のハッチのハンドルは内側にだけついていて外側にはないのです。いま片岡さんのいわれたような番組は、私の知る限りでは昭和五十九年(一九八四)からのように思います。
「回天」事故でこのハッチから乗組員が脱出したケースを私は何度か知っています。私がテレビ関係者に説明したのは平成十年のことです》という。
「回天」のなかへ善玉人間が閉じ込められる、というような悲劇性強調番組やドラマは数多い。このハッチの件も、番組担当者は知っていたが、まっとうでは番組は面白くない、と考えてわざと真相を曲げて制作したのかもしれない。
真実を後世に伝えたい。