安住淳財務大臣の答弁

どうにかしてくれ、この大臣。

 見過ごせない答弁もあった。インフレターゲティングに関する質疑だ。

 山本議員はまず、白川方明日銀総裁をやり込めた。FRBは1月25日、新たに2%の長期的な物価目標を導入したが、日銀が「これはインフレターゲティングではない」と説明しているのは「完全な誤訳だ」と切って捨てたのだ。実際、バーナンキFRB議長は「物価安定だけを目標とする政策をインフレターゲティングと解釈するなら、そうではない。

 FRBは物価安定と雇用最大化の二つを達成するのが責務なので、その両方を同時に目指すからだ」と述べたのである。インフレターゲティングの世界的権威であるだけに正確に説明したのだが、日銀はその一部を取り上げて曲解させる文章に仕立て上げたわけだ。日銀らしい姑息な手だ。

 この狡っ辛さを指摘した上で山本議員は安住大臣に、日銀に対してインフレターゲティング政策導入を求めるか、と質した。安住大臣は、日銀には独立性があるので任せている、と逃げを打った。

 すると山本議員はすかさず、「独立には目標設定の独立と政策手段の独立があり、日銀に目標設定の独立はないことを知っているか」と畳みかけた。安住大臣は「知っている」と答えたものの、「では日銀に2〜4%程度の物価目標を与えるべきだ」と迫られると、あとはもうシドロモドロ。答えにならない答弁をモゴモゴ繰り返すばかりだった。

「週刊現代」2012年2月25日号より