「DNSの浸透待ち」は回避できる


サイトの引っ越しにおける浸透問題の本質は、古い情報がいつまでも消えないことにあります。「example.jp」の管理・運用者がA社からB社に変わった時に、いつまでもA社のの権威DNSサーバー応答が使われてしまうと新しいサイトにアクセスが向かない。これを避けるための方法として、管理・運用者をB社に切り替える前に十分な時間的余裕を持って、A社の権威DNSサーバーが返す応答の中身をB社の権威DNSサーバーが返す応答の中身と同じものにしてしまうやり方があります。このポイントを簡単に示すと、次のようになります。

※引っ越し前にA社で運用している時の「example.jp」のIPアドレスを「192.0.2.101」、引っ越し後のB社で運用する「example.jp」のIPアドレスを「192.0.2.202」として説明。

【引っ越し前:A社が管理している状態】

A社 「example.jp」の管理は「A社の権威DNSサーバー」がしている
  「example.jp」のIPアドレスは「192.0.2.101」である

【引っ越し時:A社からB社への切り替え】

A社 「example.jp」の管理は「B社の権威DNSサーバー」がしている
  「example.jp」のIPアドレスは「192.0.2.202」である

B社 「example.jp」の管理は「B社の権威DNSサーバー」がしている
  「example.jp」のIPアドレスは「192.0.2.202」である

【引っ越し終了時:A社の管理を終了】

B社 「example.jp」の管理は「B社の権威DNSサーバー」がしている
  「example.jp」のIPアドレスは「192.0.2.202」である

 いかがでしょうか。この方法を取ると、引っ越し元のA社と引っ越し先のB社が協調した形で管理・運用者の変更を行いますので、引っ越しの際などに新サイトにアクセスできなくなるという事象は起こりません。ただし、実際の引っ越しの場面では顧客に去られるA社が非協力的であったりするなどの理由により、この方法が採用できない場合もあります。そうならないためには、事業者との契約の際にDNSの安定性やサポートなどをきちんと評価することが不可欠です。

 なお、応答内容の設定方法など技術的詳細については、JPRSトピックス&コラム「DNSサーバーの引っ越し〜トラブル発生を未然に防ぐ手順とポイント〜」としてJPRSのサイトで公開していますので、そちらもご覧ください


引用元: 「DNSの浸透待ち」は回避できる――ウェブ担当者のためのDNS基礎知識 -INTERNET Watch,
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/special/20120227_514853.html